東京から福岡市に引っ越すと生活費はいくら変わる?公的統計で試算【2026年】

東京の高層ビル群から、海に面した福岡へ引っ越すイメージのイラスト

※数値は2026年10月7日時点で取得した総務省の公的統計にもとづく試算です。

福岡への転勤が決まった、家族で九州へ移ることを考えている。そんなとき知りたいのは、東京から福岡市に引っ越すと、毎月の生活費がいくら変わるのかです。

ところが「福岡 生活費」で調べると、一人暮らしのモデル家計や個別の物件の例、移住者の感想が中心です。東京と比べた数字があっても、統計の出典や時点が書かれていないことが多く、予算を組む材料にしにくいのが実情です。

この記事では、総務省の小売物価統計調査(2026年8月の民営家賃)と消費者物価地域差指数(2025年)を使い、東京23区と福岡市(市の値)の生活費の差を試算します。単身の転勤にも家族での移住にも使えるよう、間取り別の早見表も用意しました。

東京から福岡へ引っ越すと生活費は月いくら下がる?結論は40㎡で約6.7万円

1LDK相当(40㎡)の部屋に住み、家賃以外の生活費が月15万円の人が東京23区から福岡市へ移る場合、試算では月66,904円、年802,848円生活費が下がります。

内訳は、家賃の差が月62,230円、家賃以外の差が月4,674円です。差のおよそ93%は家賃で、食費や日用品などの物価の差は7%ほどしかない計算です。

福岡と東京の生活費の差は9割以上が家賃(家賃・物価の比較表)

元になる統計を並べます。家賃は「3.3㎡(1坪)あたりの月額」で、広さを掛けて部屋ごとの家賃を試算しています。

項目 東京23区 福岡市 差(福岡−東京)
民営家賃(3.3㎡あたり・月、2026年8月) 10,048円 4,914円 −5,134円
民営家賃の前年同月比 +291円(+3.0%) +61円(+1.3%) ―
消費者物価地域差指数(家賃を除く総合、2025年) 102.7 99.5 −3.2
消費者物価地域差指数(食料、2025年) 103.6 99.6 −4.0

福岡市の民営家賃は東京23区の約49%で、半分以下です。同じ方法で試算した名古屋市と仙台市は約52%、大阪市は約63%でした。40㎡・生活費15万円の差は大阪市が月48,683円、名古屋市が月64,412円、仙台市が月62,050円で、福岡の下がり幅は4都市で最も大きい計算です(東京から大阪、東京から名古屋、東京から仙台の試算はこちら)。

この1年の家賃は、東京23区が前年同月より3.0%上がったのに対し、福岡市は2025年8月の4,853円から2026年8月の4,914円へ1.3%の上昇でした。福岡も上がってはいますが上がり方は東京の半分以下で、東京との差はこの1年で広がっています。

なお、この民営家賃は統計調査の対象になった民営借家の家賃で、築年数や駅からの距離がさまざまな物件の値です。博多駅や天神周辺の新しい物件の募集家賃とは差があるので、相場の比率をつかむための目安として使ってください。

東京23区と福岡市の家賃(40㎡換算)と家賃以外の生活費を並べた横棒グラフ。家賃は121,794円と59,564円で半分以下、家賃以外は150,000円と145,326円でほぼ同じ
福岡市の家賃は東京23区の約49%(40㎡換算で月62,230円の差)。家賃以外の差は月4,674円

間取り別の早見表:単身の転勤と家族での移住で差はいくら?

単身の転勤なら1K、家族なら2LDKというように、広さによって差は大きく変わります。家賃以外の生活費も世帯の人数で違うため、組み合わせを変えて試算しました。

想定 広さ 家賃以外の生活費(東京での月額) 家賃の差(月) 家賃以外の差(月) 合計の差(月) 合計の差(年)
単身(1R・1K) 25㎡ 10万円 −38,894円 −3,116円 −42,010円 −504,120円
単身〜2人(1LDK) 40㎡ 15万円 −62,230円 −4,674円 −66,904円 −802,848円
家族(2LDK) 55㎡ 20万円 −85,567円 −6,232円 −91,798円 −1,101,576円
家族(2LDK) 55㎡ 25万円 −85,567円 −7,790円 −93,356円 −1,120,272円

計算方法:家賃=民営家賃(3.3㎡あたり)×広さ÷3.3。家賃以外=東京での生活費×99.5÷102.7(消費者物価地域差指数の比)。各項目は四捨五入しているため、合計と1円合わないことがあります。

単身で月約4.2万円、家族で月約9.2万円の差です。家族の2行を比べると、家賃以外の生活費を5万円増やしても差は約1,600円しか変わりません。差を左右するのは広さ(家賃)です。

会社から住宅手当や社宅が出る場合は、自分で負担する家賃に置き換えて計算してください。また、福岡で車を持つ場合の駐車場代・保険料や、東京との往復の交通費はこの試算に含まれていません。

東京23区から福岡市へ移ったときに月に下がる額を間取り別に示した積み上げ棒グラフ。25㎡で42,010円、40㎡で66,904円、55㎡で91,798円と93,356円。どの棒もほとんどが家賃の差
単身で月約4.2万円、家族で月約9.2万円の差。差のほとんどは家賃で、家賃以外の生活費を5万円増やしても差は約1,600円しか変わらない

福岡の物価は東京より約3%安い。食料は約4%

家賃を除いた物価は、全国平均を100とした指数で東京23区102.7、福岡市99.5です。福岡市は東京23区の約97%で、家賃以外の物価差は約3%です。食料だけの指数では103.6と99.6で、差は約4%でした。

大阪市(約3%)とほぼ同じで、名古屋市(約4%)より少し小さい値です。家賃以外に月15万円使っている人で月4,700円ほどの差にとどまります。「福岡に行けば全体が半分になる」わけではなく、半分以下になるのは家賃だと考えておくと、予算の読み違いを防げます。

私は20年以上前に福岡市から東京へ移りました。この記事とは逆向きの引っ越しですが、そのときは生活費が1.5倍以上かかるという印象で、振り返るとその実感のほとんどは家賃から来ていたのだと思います。昔の話で統計にもとづく数字ではありませんが、差の正体が家賃だという点は、20年前の実感も今の統計も同じです。今の数字で言えば、40㎡・生活費15万円で東京23区は福岡市の約1.3倍、家賃だけなら約2倍です。

福岡市に住んでいたのは2002年、西区の姪浜で3か月ほどでした。新築のマンションで家賃は月6.3万円ほど。20年以上前の数字なので今の相場とは違い、参考程度です。一方で、東京に移ったあとに「家賃以外」が高いと感じた記憶はあまりありません。家賃以外の差は約3%という今の統計と、当時の実感は合っています。福岡にはその後めったに行っていませんが、8年ほど前に訪れたときは、韓国からの旅行者の多さに驚きました。

福岡市の転入超過率は東京23区に近い(2026年8月まで)

生活費とは別に、人の動きも見ておきます。総務省の住民基本台帳人口移動報告をもとにまちくらべで集計した値では、直近12か月(2026年8月まで)の転入超過数は東京23区が+24,534人、福岡市が+3,654人です。

転入超過数は「転入者数−転出者数」で、出生・死亡による増減は含まない、引っ越しによる人の出入りだけの数字です。人口1,000人あたりの転入超過率にすると東京23区2.52‰、福岡市2.27‰で、福岡市は東京23区に近い水準で人が集まっています。

月ごとに見ると、福岡市は3月と4月に人が集まるのが特徴です。2025年は3月+2,806人、4月+2,544人、2026年は3月+1,496人、4月+1,355人でした。ただし2026年の3月・4月は前年の半分ほどで、直近の2026年8月は−184人と、前年同月の+481人から転出超過に転じています。この数か月は転入の勢いが弱まっています。理由は統計から分からないので、事実だけを示しておきます。

北九州・熊本・広島と比べると:西日本で転入超過は福岡だけ

福岡と同じように転勤先になりやすい北九州市・熊本市・広島市を、同じ統計・同じ条件で並べます。

都市 民営家賃(3.3㎡あたり・月) 東京23区比 民営家賃の前年同月比 家賃を除く物価指数 転入超過数(12か月) 40㎡・生活費15万円の差(月)
東京23区 10,048円 100% +3.0% 102.7 +24,534人 ―
福岡市 4,914円 48.9% +1.3% 99.5 +3,654人 −66,904円
広島市 4,556円 45.3% +0.6% 99.5 −2,221人 −71,244円
熊本市 3,803円 37.8% −0.9% 100.5 −1,190人 −78,910円
北九州市 3,782円 37.6% −0.5% 99.5 −1,839人 −80,625円

直近12か月が転入超過なのは福岡市だけで、広島・熊本・北九州は転出超過でした。家賃は福岡市が4都市で最も高く、この1年で上がったのも福岡市と広島市だけです。人が集まる都市ほど家賃が高く、上がりやすいという関係が西日本でもそのまま出ています。それでも福岡市の家賃は東京23区の半分以下で、家賃を除く物価は4都市でほとんど差がありません。

自分の条件で東京と福岡の生活費を計算するには

ここまでの試算は、広さと生活費を仮に置いたものです。まちくらべでは、広さ(25㎡〜85㎡や自由入力)と家賃以外の生活費を入れるだけで、同じ方法で月額の差を計算できます。

北九州・熊本・広島や、大阪・名古屋・仙台も候補なら、比較ページと、同じ方法で試算した記事もあわせて見てください。

まとめ

  • 東京23区から福岡市へ移ると、40㎡・生活費15万円の条件で月約6.7万円、年約80万円下がる試算
  • 差の約93%は家賃。福岡市の民営家賃は東京23区の約49%で、大阪・名古屋・仙台より下がり幅が大きい
  • 東京の家賃は前年比+3.0%、福岡は+1.3%で、差はこの1年で広がった
  • 家賃以外の物価差は約3%(食料は約4%)にとどまる
  • 転入超過率は福岡市2.27‰、東京23区2.52‰。西日本4都市で転入超過は福岡だけだが、直近は勢いが弱まっている
  • 車の費用や東京との往復の交通費は試算に含まない

出典

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