東京から熊本に引っ越すと生活費はいくら変わる?公的統計で試算【2026年】

東京23区から熊本市へ引っ越すと生活費はいくら変わるかを示すタイトル画像

※数値は2026年10月9日時点で取得した総務省の公的統計をもとに試算しています。

熊本への転勤が決まったときや、九州への引っ越しを考えているとき。気になるのは、東京から熊本市に引っ越すと、毎月の生活費がいくら変わるのかという点です。

ただ、「熊本 生活費」「熊本 家賃相場」で検索しても、見つかるのは主に一人暮らしのモデル家計や個別の物件例です。東京との比較が載っていても、統計の出典や時点が明記されていないことが多く、予算を立てる材料としては使いにくいのが実情です。

そこでこの記事では、総務省の小売物価統計調査(2026年8月の民営家賃)と消費者物価地域差指数(2025年)から、東京23区と熊本市(市の値)の生活費の差を試算します。単身での転勤にも家族での移住にも役立つよう、間取り別の早見表をまとめました。私は熊本市で暮らしたことがないため、比較には統計の数字だけを使います。

東京から熊本へ引っ越すと生活費は月いくら下がる?40㎡なら約7.9万円

東京23区から熊本市へ移り、1LDK相当(40㎡)の部屋で暮らす場合を考えます。家賃以外の生活費が月15万円の人なら、試算上の生活費は月78,910円、年946,920円下がります。

このうち、家賃の差は月75,697円、家賃以外の差は月3,213円です。差のおよそ96%を家賃が占め、物価の差による分は4%ほどにとどまります。

熊本と東京の生活費の差は9割以上が家賃(家賃・物価の比較表)

家賃の試算には「3.3㎡(1坪)あたりの月額」を使い、部屋の広さに応じて計算しています。

項目 東京23区 熊本市 差(熊本−東京)
民営家賃(3.3㎡あたり・月、2026年8月) 10,048円 3,803円 −6,245円
民営家賃の前年同月比 +291円(+3.0%) −34円(−0.9%) ―
消費者物価地域差指数(家賃を除く総合、2025年) 102.7 100.5 −2.2
消費者物価地域差指数(食料、2025年) 103.6 102.9 −0.7

東京23区を基準にすると、熊本市の民営家賃は約38%となります。北九州市(約38%、3,782円)とほぼ並ぶ水準で、札幌市(約42%)や広島市(約45%)と比べても低い比率です。

40㎡・生活費15万円という条件での差は、広島市の月71,244円、札幌市の月70,485円より大きくなります(東京から広島、東京から札幌、東京から福岡の試算はこちら)。

家賃のこの1年の動きを見ると、東京23区は前年同月から3.0%上昇しました。一方、熊本市は前年同月の3,837円から3,803円へ0.9%下落しています。その結果、東京との差はこの1年で広がりました。

ここで使う民営家賃は、統計調査の対象となった民営借家の家賃です。築年数や駅からの距離が異なる物件の値を含んでいます。新しい物件の募集家賃とは差があるため、相場の比率を把握する目安として活用してください。

東京23区と熊本市の家賃(40㎡換算)と家賃以外の生活費を並べた横棒グラフ。家賃は121,794円と46,097円で4割弱、家賃以外は150,000円と146,787円で差は約2%
東京23区に対し、熊本市の家賃は約38%(40㎡換算で月75,697円の差)。家賃以外では月3,213円の差

間取り別の早見表:単身の転勤や家族での移住ではいくら違う?

単身の転勤では1K、家族での移住では2LDKなど、選ぶ部屋の広さで差は大きく変わります。また、家賃以外の生活費は世帯の人数によっても異なります。そこで、広さと生活費の組み合わせを変えて試算しました。

想定 広さ 家賃以外の生活費(東京での月額) 家賃の差(月) 家賃以外の差(月) 合計の差(月) 合計の差(年)
単身(1R・1K) 25㎡ 10万円 −47,311円 −2,142円 −49,453円 −593,436円
単身〜2人(1LDK) 40㎡ 15万円 −75,697円 −3,213円 −78,910円 −946,920円
家族(2LDK) 55㎡ 20万円 −104,083円 −4,284円 −108,368円 −1,300,416円
家族(2LDK) 55㎡ 25万円 −104,083円 −5,355円 −109,439円 −1,313,268円

計算方法:家賃=民営家賃(3.3㎡あたり)×広さ÷3.3。家賃以外=東京での生活費×100.5÷102.7(消費者物価地域差指数の比)。各項目を四捨五入しているため、合計に1円のずれが出る場合があります。

差は単身で月約4.9万円、家族で月約10.8万〜10.9万円となります。家族の2行を見ると、家賃以外の生活費が5万円増えても、差の変化は約1,100円です。つまり、差を大きく左右するのは広さ(家賃)といえます。

会社の住宅手当や社宅を利用できる場合は、実際に自分が負担する家賃に置き換えて計算してください。なお、熊本で車を持つ際の駐車場代・保険料や、東京との往復の交通費はこの試算には含めていません。

東京23区から熊本市へ移ったときに月に下がる額を間取り別に示した積み上げ棒グラフ。25㎡で49,453円、40㎡で78,910円、55㎡で108,368円と109,439円。どの棒もほとんどが家賃の差
差は単身で月約4.9万円、家族で月約10.8万〜10.9万円。そのほとんどを家賃が占め、家賃以外の生活費が5万円増えても差の変化は約1,100円にとどまる

熊本の物価は東京より約2%安い。食料はほぼ東京と同水準

全国平均を100とする家賃を除いた物価の指数は、東京23区が102.7、熊本市が100.5です。東京23区に対して熊本市は約98%となり、家賃以外の物価差は約2%です。

食料の指数は102.9と、東京23区の103.6に近い値です。東京23区に対する比率は約99.3%(102.9÷103.6)で、その差は約0.7%となります。

北九州市の食料の指数は101.3、福岡市は99.6です。これらと比べると、熊本市は北九州市より約1.6%、福岡市より約3.3%高い計算になります。

家賃以外の支出が月15万円の人なら、差は月3,200円ほどです。予算の読み違いを防ぐには、「熊本に行けば全体が半分以下になる」のではなく、半分以下になるのは家賃と捉えておくとよいでしょう。40㎡・生活費15万円の条件では、東京23区は熊本市の約1.4倍、家賃だけを比べると約2.6倍です。

北九州・福岡との比較:家賃は北九州並み、物価は熊本がやや高い

3.3㎡あたりの民営家賃は、熊本市が3,803円、北九州市が3,782円で、差は21円です。福岡市の4,914円に対しては約77%となり、福岡市より約23%安い水準にあります。

一方で、家賃を除く物価の指数は熊本市が100.5、北九州市・福岡市が99.5となっています。このため、40㎡・生活費15万円という条件で東京23区との差を比較すると、北九州市は月80,625円、熊本市は月78,910円です。熊本市のほうが月1,715円小さくなります。差の内訳は家賃が255円、物価が1,461円で、大部分が物価によるものです。

福岡市から熊本市への引っ越しでは、比較ページの試算(同じ条件)によると、家賃が月13,467円下がる一方、家賃以外は月1,508円上がり、合計では月11,959円下がります。

4月に増え、3月に減る:熊本市の転入超過は3月と4月で逆方向(2026年8月まで)

総務省の住民基本台帳人口移動報告からまちくらべが集計した値を見ると、直近12か月(2026年8月まで)の転入超過数は、東京23区が+24,534人、熊本市が−1,190人となっています。

転入超過数は「転入者数−転出者数」で求めます。出生・死亡に伴う増減は含めず、引っ越しによる人の出入りだけを表す数字です。人口1,000人あたりでは東京23区が+2.52‰、熊本市が−1.61‰となり、熊本市では出ていく人のほうが多いことが分かります。直近12か月のうち、転入超過となった月は2026年4月(+184人)と8月(+53人)だけでした。

2025年は3月−122人、4月+269人、2026年は3月−434人、4月+184人でした。2025年と2026年(8月まで)の2年とも、3月には転出超過、4月には転入超過となっています。2024年6月から2026年8月までの27か月で、転入超過が最も大きかったのは2025年4月の+269人です。同じ27か月で転出超過が最も大きかったのは2026年3月の−434人で、直近12か月の合計−1,190人の約36%にあたります。

ただし、2025年の転出超過は3月(−122人)よりも9月(−220人)のほうが大きくなっていました。

東京23区の2026年3月は+27,332人で、熊本市の3月とは逆の動きです。また、4月も転出超過となった広島市(−715人)や北九州市(−61人)とも動きが異なります(2026年4月、北九州・広島の記事より)。

2024年6〜12月は7か月すべてが転入超過で、合計は+1,255人でした。それに対し、2025年の同じ時期は−373人となっています。1〜8月の合計でも、2025年の+26人に対して2026年は−828人です。ただ、この統計では移動の理由を調べておらず、理由は分かりません。ここでは事実のみを示します。

熊本市の転入超過数を2024年6月から2026年8月まで月ごとに示した棒グラフ。2024年6〜12月は上向きの棒が続き、2025年以降は下向きの棒が増える。2025年と2026年は3月が下向き、4月が上向きで、2026年3月の−434人が最も大きい下向きの棒
2025年・2026年とも、熊本市は3月に転出超過、4月に転入超過となった(2025年3月−122人・4月+269人、2026年3月−434人・4月+184人)。直近12か月では合計−1,190人

自分の条件に合わせて東京と熊本の生活費を計算するには

まちくらべでは、広さ(25㎡〜85㎡や自由入力)と家賃以外の生活費を入力すると、この記事と同じ方法で月額の差を計算できます。

福岡・北九州・広島も候補に入っているなら、同じ方法で試算した以下の記事も参考にしてください。

まとめ

  • 40㎡・生活費15万円の条件では、東京23区から熊本市への引っ越しで月約7.9万円、年約95万円下がる試算
  • 差のうち約96%を占めるのは家賃。熊本市の民営家賃は東京23区の約38%と北九州市に近く、福岡市より約23%安い
  • 家賃は東京が前年比+3.0%、熊本が−0.9%となり、この1年で差が広がった
  • 家賃以外の物価の差は約2%にとどまる。食料の指数は102.9で、東京23区との差は約0.7%
  • 熊本市の直近12か月の転入超過数は−1,190人(−1.61‰)。2025年と2026年(8月まで)は、いずれも3月が転出超過、4月が転入超過
  • 試算には車の費用や東京との往復の交通費を含めていない

出典

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